フルミストってなに?

フルミストは、鼻の中に噴霧するタイプのインフルエンザワクチンです。

弱毒化したインフルエンザウイルスを鼻の粘膜で限定的に増殖させることで、自然にインフルエンザに感染したときに近い免疫反応を誘導します。

注射針を使用しないため、注射が苦手なお子さんにとって大きなメリットがあります。

対象:2歳以上19歳未満
接種回数:1シーズン1回
接種方法:左右の鼻に0.1mLずつ、合計0.2mLを噴霧

接種そのものは短時間で終了します。

詳細は以下のブログでも解説していますので、ぜひご覧ください。

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注射のワクチンとフルミスト、どちらが効く?

これはよく聞かれる質問です。

現在までの研究を総合すると、小児ではフルミストと注射の不活化インフルエンザワクチンの予防効果は、全体として大きくは変わらないと考えられています。

ただし、インフルエンザワクチンの効果は、その年に流行するウイルスとワクチン株との一致などによって大きく変化します。

過去には特定のA/H1N1株に対してフルミストの効果が低かったシーズンもありました。一方、B型などではフルミストが良好な成績を示した研究もあります。

したがって、

「フルミストの方が効く」
「注射の方が効く」

と単純に決めることはできません。

なお、今回の日本の2025/26シーズンの調査には注射ワクチンを接種したお子さんも含まれていますが、現時点で公表されている速報では、フルミストと注射ワクチンを直接比較した有効率は示されていません。


フルミストは「長く効く」?

フルミストの特徴のひとつが、鼻やのどなどの「粘膜免疫」を誘導することです。

注射ワクチンでは主に血液中の抗体による免疫が誘導されますが、フルミストでは鼻の粘膜でIgAなどの免疫反応に加え、局所の免疫記憶も誘導されます。

こうした免疫学的特徴から、フルミストでは比較的長期間の防御効果が期待されています。過去の臨床研究でも、接種後数か月以上にわたって発症予防効果が認められた報告があります。

ただし現時点では、「フルミストの方が注射ワクチンより長期間効く」と臨床的に証明されているわけではありません。

そのため、当院では「長く効くからフルミストを選ぶ」というよりも、接種時の痛み、年齢、基礎疾患などを含めて選択することをおすすめしています。


接種した子から家族にうつることはある?

フルミストは生ワクチンですので、接種後しばらくの間、鼻汁から弱毒化されたワクチンウイルスが検出されることがあります。

ただし、

「鼻からワクチンウイルスが出ること」と「他の人に感染すること」は同じではありません。

保育施設で接種児と未接種児が濃厚に接触する環境で調べた研究では、フルミスト接種児の多くからワクチンウイルスが一時的に検出されましたが、未接種児へのワクチンウイルスの伝播が確認されたのはごく少数でした。

この研究から推定された伝播確率は、接種児1人との濃厚接触あたり約0.6%でした。

そのため、健康な家族との通常の日常生活で、接種後に隔離したり、登園・登校を控えたりする必要はありません。

ただし、造血幹細胞移植直後など、厳重な感染防御を必要とするほど高度な免疫抑制状態の方と密接に接触する場合には、フルミストではなく注射ワクチンを選択することがあります。


他のワクチンと一緒に接種できる?

フルミストは、生ワクチン、不活化ワクチン問わず他のワクチンと同じ日に接種することができます。

一方、同時接種せず別の日に他の「注射生ワクチン」を接種する場合には、接種間隔について確認が必要です。

複数のワクチンを予定している場合は、受付または診察時にご相談ください。

まとめ

フルミストは2歳以上19歳未満を対象とした、鼻に噴霧するインフルエンザ生ワクチンです。

注射ワクチンとの間に予防効果の明確な優劣は確認されていません。

鼻の粘膜免疫を誘導する特徴がありますが、「注射より長く効く」とまでは証明されていません。

接種後にワクチンウイルスが排出されることがありますが、他人への伝播はまれです。

作成・監修: 森嶋 素子 (循環器専門医/日本プライマリ・ケア連合学会認定医)