大動脈の病気には主に大動脈瘤と大動脈解離があります。

先天的に大動脈の壁が弱いことで起こるものもありますが、多くの原因は動脈硬化によるものです。

これらの病気により大動脈が破裂を起こすと救命は困難な場合が多いです。

動脈硬化の原因となる疾患の治療を行い、予防を行うことが重要です。

大動脈瘤

大動脈の壁が拡大した状態です。

大動脈の正常の大きさは、一般に胸部では3cm、腹部では2cmです。

胸部で4.5cm、腹部で3cm以上に拡大したものを大動脈瘤と呼びます。

また、瘤の部位によって胸の大動脈にあるものは胸部大動脈瘤、腹の大動脈にあるものは腹部大動脈瘤と呼びます。

多くは、無症状で、他の目的で行った画像検査で偶然発見されます。

胸部大動脈瘤の中には、声が枯れるとか物が飲み込みにくいという症状が出るものもあります。

腹部大動脈瘤の場合には、腹部の拍動する腫瘤を自覚したり、腹痛や腹部不快感を自覚したりすることもあります。

破裂や破裂寸前の状態(切迫破裂)では一般的に激痛を伴います。

大動脈瘤を発見した場合には、瘤の破裂や拡大の原因となる危険因子に対する治療を行います。

禁煙の徹底、高血圧に対する治療などです。

また、定期的に画像検査を行い、瘤の大きさの変化を観察します。

一定の大きさ以上の大動脈瘤は破裂の危険が高くなります。この場合は、手術や血管内治療の必要性を検討するため、専門の医療機関にご紹介いたします。

急性大動脈解離

大動脈の壁は3層構造でできていますが、この真ん中の層に亀裂が入り、そこに血液が流れ込んでしまう状態です。

大動脈の破裂を起こすほか、大動脈の分枝(大動脈からわかれて重要な臓器に血流を運ぶ血管)の血流が低下して様々な症状を引き起こします。

10万人あたり年間10人程度が発症すると言われており、発症すると約60%の方は病院への到着前に亡くなってしまうと言われています。

緊急入院が必要で、解離の起きた部位が心臓に近い動脈の場合は緊急手術が必要となります。