
Apple Watch Series 9/Series 10/Ultra 2 では、watchOS 11 以降で「睡眠時無呼吸通知」機能が利用できます。
就寝中に腕のわずかな動きを測定し、「呼吸パターンの乱れ」が一定以上続くと「中等度〜重度の睡眠時無呼吸の兆候がある可能性があります」と知らせてくれるスクリーニング機能です。
すでに日本を含む150以上の国・地域で提供されています。
対応デバイス・OS
必要条件 | 内容 |
---|---|
Apple Watch | Series 9 以降または Ultra 2 |
iPhone | 最新の iOS(iOS 18 以降) |
watchOS | watchOS 11 以降 |
対象年齢 | 18歳以上(すでに睡眠時無呼吸症候群と診断されている方は対象外) |
しくみ
- Apple Watch の 加速度センサーは、胸郭や手首の微細な動きを捉え、呼吸の途切れを推定します。
- 毎晩の睡眠トラッキングで得られた 1時間あたりの「呼吸パターンの乱れ」の回数 を30日ごとに解析。
- 30日間に10回以上のデータが集まり、その50%以上が「高い」と判定された場合に通知を生成します。
セットアップ手順
- iPhoneの「ヘルスケア」アプリを開き、画面右上にあるプロフィール写真をタップ。
- 「ヘルスケアチェックリスト」をタップし、「睡眠時無呼吸通知」を選び「セットアップ」を開始。
- 生年月日と既往歴を確認し完了。
「睡眠時無呼吸通知」を受け取ったら
- これは、診断ではなく「兆候の検知」です。正式な診断にはポリソムノグラフィー(PSG)などの医療機器による検査が必要ですので、医療機関への受診を推奨します。
- 当院では、検査から治療まで一貫して対応可能ですので、通知を受け取った方は、ぜひご気軽にご相談ください。
精度とエビデンス
Appleは、医療機関で診断に使われるポリソムノグラフィーとApple Watchを同時に使った大規模研究を実施しました。
最終的なアルゴリズムは、重症の睡眠時無呼吸は見逃しにくい一方(感度約89%)、中等度では見逃しもあります(感度約43%)。
全体として、疑いのない人に誤って知らせることは極めて少ないように設計されているようです。
限界と注意点
- 軽症〜中等症や中枢性睡眠時無呼吸は検出されない場合があります。
- 既に睡眠時無呼吸症候群と診断されている方、またはCPAP治療中の方には通知は送られません。
- 通知が来なくても症状(いびき、日中の強い眠気、夜間頻尿)があれば医療機関を受診してください。
- 乳幼児や小児は対象外です。
まとめ
Apple Watch の睡眠時無呼吸通知は、睡眠時無呼吸症候群の兆候を検出し、受診のきっかけを与えてくれる強力なツールです。
一方で診断確定や重症度分類は行えません。
通知を受けた方、もしくは症状が気になる方は、医療機関での検査と治療を受けることが重要です。
当院でも精査・治療のご相談を承っていますので、お気軽にお問い合わせください。