9価HPVワクチン「シルガード9」は、男性のHPV関連がん予防にも期待されています

HPVワクチンというと、「子宮頸がんを予防する女性のためのワクチン」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。

しかし、HPV(ヒトパピローマウイルス)は女性だけでなく、男性にも感染するウイルスです。
そしてHPVは、子宮頸がんだけでなく、男性においても

  • 中咽頭がんなどの頭頸部がん
  • 肛門がん
  • 陰茎がん
  • 尖圭コンジローマ

などに関係することが知られています。

近年、男性へのHPVワクチン接種の意義が世界的にも注目されており、2026年には、男性に対する9価HPVワクチンのがん予防効果を示す大規模研究が報告されました。


男性への9価HPVワクチンで、HPV関連がんのリスクが低下

2026年4月、医学誌 JAMA Oncology に、男性への9価HPVワクチン接種とHPV関連がんの発症リスクを調べた大規模研究が掲載されました。

この研究では、9〜26歳の男性を対象に、9価HPVワクチンを接種した人と接種していない人を比較しています。
接種群は約61万人、非接種群は約229万人という非常に大きなデータを用いた研究です。

その結果、9価HPVワクチンを接種した男性では、頭頸部がん、食道がん、肛門がん、陰茎がんを含むHPV関連がん全体の発症リスクが有意に低下していました。傾向スコアで背景をそろえた解析では、HPV関連がんのリスクは おおよそ半分近くまで低下していました。

また、この効果は9〜14歳で接種した男性だけでなく、15〜26歳で接種した男性でも認められていました。


HPVワクチンは「将来のがんを防ぐワクチン」です

HPVは、主に性的接触によって感染するウイルスです。
多くの場合は自然に排除されますが、一部では感染が持続し、長い年月をかけてがんの原因になることがあります。

そのため、HPVワクチンは「今すぐ何かの症状を防ぐ」というよりも、将来のがんのリスクを下げるための予防接種です。

とくにHPVワクチンは、HPVに感染する前に接種することで、より高い効果が期待されます。
そのため、思春期のうちに接種を済ませておくことが大切です。


9価HPVワクチン「シルガード9」とは

シルガード9は、9種類のHPV型に対応したワクチンです。
日本では、2025年にシルガード9について、男性への接種対象拡大や、肛門がんおよびその前駆病変、男性の尖圭コンジローマ予防に関する適応追加が承認されています。

接種回数は年齢によって異なります。

  • 15歳未満で1回目を接種する場合:原則2回接種
  • 15歳以上で1回目を接種する場合:原則3回接種

シルガード9は、9歳以上の方に接種可能で、9歳以上15歳未満では2回接種とすることができます。


葛飾区では男子HPVワクチンの助成があります

葛飾区では、男子へのHPVワクチン任意接種について費用助成が行われています。
令和8年度からは、9価ワクチンであるシルガード9も助成対象となっています。

対象は、葛飾区在住の小学校6年生から高校1年生相当の男子です。
接種回数は、接種開始年齢により2回または3回となります。

なお、すでに4価ワクチンで接種を開始している場合でも、当院では9価ワクチンであるシルガードの接種が可能です。(接種が完了している方は対象外です)


男子にもHPVワクチンをおすすめする理由

男性へのHPVワクチン接種には、主に3つの意義があります。

1つ目は、ご本人の将来のがん予防です。
HPVは男性でも頭頸部がん、肛門がん、陰茎がんなどに関係します。今回の大規模研究でも、9価HPVワクチンを接種した男性ではHPV関連がんのリスク低下が示されました。

2つ目は、尖圭コンジローマの予防です。
HPVの一部の型は、尖圭コンジローマの原因になります。シルガード9は、男性の尖圭コンジローマ予防についても適応が追加されています。

3つ目は、将来のパートナーを守ることにもつながる点です。
HPVは男女間で感染しうるウイルスです。男性が接種することは、ご本人だけでなく、将来のパートナーのHPV感染リスクを下げることにもつながります。


早めの接種をおすすめします

HPVワクチンは、接種を始めてから完了までに数か月かかります。
15歳未満で開始できると2回接種で完了できる場合があるため、対象年齢の方は早めに検討されることをおすすめします。

男子へのHPVワクチンは、まだ「女性のワクチン」というイメージが残っているため、接種の機会を逃してしまうことがあります。
しかし、HPVは男性にも関係する感染症であり、男性にも予防できる病気があります。

森嶋クリニックでは、男子への9価HPVワクチン「シルガード9」の接種についてご相談いただけます。
対象年齢、接種回数、助成制度の利用について不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

作成・監修: 森嶋 素子 (循環器専門医/日本プライマリ・ケア連合学会認定医)