結論:ワクチンは接種してから“おおむね2週間”で効きはじめ、効果は“約5か月”続きます。 日本では流行が12〜3月に多いため、10月〜12月中旬までに完了しておくのが基本です。


なぜ「10月中」なの?

  • 日本の流行は、例年12〜3月にかけて増えます。十分な効果が続く期間は、接種後およそ2週間〜約5か月。この2つを合わせて考えると、10月中に始めて、遅くとも12月中旬までに終えると、ピークをしっかりカバーしやすくなります。

効きはじめの時期(フルミスト/不活化ワクチン)

  • フルミスト(点鼻・生ワクチン)不活化ワクチン(注射)も、効果が出るまで約2週間が目安です。小児で注射を2回接種する場合は、2回目からさらに約2週間見ると安心です。

効果の持続(どれくらい“もつ”?)

  • 接種後およそ2週間〜約5か月効果が持続します個人差・シーズン差あり)。季節の途中で少しずつ効果が弱まることも知られています。

フルミストと不活化ワクチンの「効きはじめ・持続」かんたん比較

項目フルミスト(点鼻・生)不活化ワクチン(注射)
効きはじめ約2週間約2週間
効果の持続目安:〜約5か月目安:〜約5か月
小児の接種回数1回/シーズン(日本では2〜18歳が対象)6か月〜13歳未満は2回、13歳以上は原則1回
メモ抗インフル薬投与の前後での効果低下に注意2回目から約2週間でピークに近づく

具体的なスケジュール例

  • 小児(注射2回の場合)
    1回目:10月上旬 → 2回目:10月下旬〜11月上旬 → 2回目から約2週間でピーク
  • 小児(点鼻ワクチンおよび中高生の場合)
    10月中に1回
  • 成人・高齢者
    10〜11月に1回(遅れてもシーズン途中の接種は有益
  • 旅行・受験・部活の大会など「大切なイベント」の遅くとも2〜3週間前までに完了を。

実際の効果は?

「インフルエンザに全くかからない」ことが目的ではありません。かかったときに重くならないことが、重要な目的です。

  • 子ども
    • PICU(小児集中治療室)への入室リスクが74%減(2010–2012の米国データ)
    • 小児の“インフルエンザ関連死亡”のリスク低下(2010–2014:基礎疾患ありで51%減、健常児で65%減
    • 2024–25シーズン中間解析:小児・思春期で入院予防効果63–78%
    • フルミストも、英国の実地データで小児の入院に対して“中等度”の予防効果が示されています
  • 成人・高齢者
    • 入院後の重症度も軽くする傾向:ワクチン接種者はICU入室が26〜82%少ない院内死亡が31〜79%少ないとする研究報告があります。

ワクチンは「重症化を防ぐ保険」。高齢者・基礎疾患のある方・お子さんほど、重症化予防の恩恵が大きいことが示されています。






まとめ

ワクチンは“すぐ”ではなく2週間で効きはじめ目安は約5か月続きます10月接種がおすすめです。


作成・監修: 森嶋 素子 (循環器専門医/日本プライマリ・ケア連合学会認定医)