
毎日暑いですね。
この時期の外来ではよく「夏になると血圧が下がるんですが大丈夫ですか?」
といったご相談をいただきます。実は血圧は季節や気温の影響を大きく受けることが知られており、夏と冬では平均で10 mmHg前後の差が出ることもあります。今回は“夏”にフォーカスし、血圧が下がる理由と上手な対処法をわかりやすくお伝えします。
1. 夏に血圧が下がりやすい主な理由
原因 | 夏(血圧が下がりやすい) | 冬(血圧が上がりやすい) |
---|---|---|
気温と血管 | 暑さで皮膚の血管が広がり、血液が流れやすくなる | 寒さで血管が縮み、流れにくくなる |
自律神経・ホルモン | リラックスしやすく交感神経が落ち着く | 体温を保つため交感神経が活発になり、血管が収縮 |
水分バランス | 発汗で体内の水分が減り、血液量が少し少なくなる | 寒さで汗が減り、水分が体内にとどまりやすい |
生活習慣 | 軽装・活動量アップ・塩分摂取ダウン | 運動不足・塩分やカロリー過多・厚着で血圧上昇 |
ポイント
気温そのものに加え、「発汗・飲水量」「運動量」「食事内容」など毎日の行動も血圧に影響します。
2. 夏の血圧を安定させる5つのポイント
- こまめな水分補給
- 汗で失われた水分・電解質を補い、脱水によるめまいや立ちくらみを防ぎます。
- 塩分は“隠れ塩”と「塩分タブレット」に注意
- スポーツドリンクや加工食品には塩分が多め。成分表示をチェックしましょう。
- 熱中症対策に塩分タブレットは必要?
- 一般的な日常生活や軽い屋外活動であれば、通常の食事で十分な塩分が補給できます。
- 炎天下で長時間汗を大量にかく作業をする方など特殊な状況を除き、塩分タブレットはおすすめしません。
- 塩分のとり過ぎは血圧上昇につながるため、高血圧の方は特にご注意ください。
- エアコンを賢く使う
- 室温26~28 ℃、湿度50~60%程度を目安に。急激な温度差は避けましょう。
- 朝・夕の自宅血圧測定
- 暑い昼間に下がり過ぎていないか、朝の値が高くないかを確認しましょう。
- 記録はスマホアプリや血圧手帳に残し、受診時に医師へ共有すると調整がスムーズです。
- 医師による薬剤調整
- 夏場は血圧が下がりやすく、降圧薬が効き過ぎて立ちくらみやふらつきが出ることがあります。
- 自宅血圧の記録を持参し、必要に応じて用量や服用時間を見直すことで、安全に血圧をコントロールできます。
- 自己判断で薬を減らしたり中止したりせず、気になる症状がある場合は必ずご相談ください。
3. 自宅血圧測定のすすめ
- 測定タイミング:朝起きて1時間以内(排尿後・朝食前)、就寝前
- 測定方法:背もたれに寄りかかり、深呼吸。カフは心臓の高さで。
- 記録:スマホアプリや血圧手帳に記録しましょう。
- 受診時に活用:季節ごとの変化をお持ちいただくと、薬の調整がスムーズです。
4. まとめ
- 夏は血管拡張+発汗で血圧が下がりやすいため、下がりすぎや脱水によるふらつきに注意。
- 水分補給・室温管理と自宅血圧測定が夏の血圧管理の基本。
- 自己判断で薬を変えずに、必ず医師と相談しましょう。
気になることがあればお気軽にご相談ください!
森嶋クリニックでは季節ごとの血圧チェックや生活指導を行っています。
「夏にふらつく」「血圧が下がり過ぎる」といった症状もお気軽にご相談ください。