
健康診断などで「尿酸値が高めですね」と言われて、不安になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「すぐに薬を飲まなきゃいけないの?」「放っておくと危険?」と心配されるかもしれませんが、実はすべての方がすぐに薬を始める必要があるわけではありません。
今回は、尿酸値が高いと指摘されたときに知っておきたい基本情報と、治療の判断基準、そして「痛風」についても解説します。
尿酸値とは?なぜ高くなるの?
尿酸は、体の中の細胞が壊れたときや、食事に含まれるプリン体が分解されたときにできる老廃物です。通常は腎臓から尿として排泄されますが、次のような理由で体にたまりやすくなります。
- 尿酸が作られすぎる(過食、飲酒、運動後の脱水など)
- 尿酸の排泄がうまくいかない(腎機能低下、薬剤の影響など)
尿酸値が高くなる状態を「高尿酸血症」と呼び、基準値は 7.0mg/dL未満 とされています。
高尿酸血症=すぐに薬が必要、ではない
尿酸値が高くても、すぐに薬が必要というわけではありません。
✅ 痛風発作を経験したことがある方
再発予防のため、原則として薬物治療が必要です。目標は尿酸値6.0mg/dL未満。
✅ 尿酸値が9.0mg/dL以上の方
将来的な腎障害や尿路結石リスクが高いため、無症状でも治療が推奨されます。
✅ 合併症がある方(高血圧・糖尿病・腎機能低下など)
薬物治療の適応になることがあります。医師と相談しながら対応を決めましょう。
✅ 合併症がなく、尿酸値が7.0〜8.9mg/dLの方
このような方は、まず生活習慣の見直しだけで経過観察とされるのが一般的です。
痛風とは?発作の特徴とリスク
痛風は、高尿酸血症が進行し、関節内に尿酸の結晶が沈着して炎症を起こす病気です。
◆ 痛風発作の特徴
- 足の親指の付け根に突然激しい痛みと腫れが起こる
- 夜間や早朝に起きやすい
- 数日から1週間程度で自然に軽快することもある
- 発作を繰り返すごとに他の関節や腎臓に影響を及ぼすことも
◆ 発作の予防が重要
痛風を一度でも経験したことがある方は、再発を防ぐために尿酸値を6.0mg/dL未満に保つ必要があります。この場合、薬による治療は必須と考えてください。
生活習慣でできる対策
薬を使わずに尿酸値を改善するには、日常生活の見直しがとても大切です。
【食事のポイント】
- プリン体の多い食品を控える(レバー、白子、干物、ビールなど)
- 野菜、きのこ、海藻類を積極的に摂る
- 果糖の多いジュース・清涼飲料を避ける
- 水分を十分にとり、尿量を増やす(目安:1日2L以上)
【生活習慣のポイント】
- 肥満の改善(体重を減らすだけでも尿酸値は下がります)
- 禁酒または節酒(特にビール、日本酒は注意)
- 適度な運動(急激な筋トレなどは逆効果になることも)
まとめ
尿酸値が高くても、すぐに薬が必要なわけではありません。大切なのは、以下のポイントをチェックすることです:
- 痛風発作を経験しているか
- 合併症があるか
- 尿酸値がどれくらい高いか
この3点を踏まえて、治療の必要性を判断していきます。
まずは、生活習慣の見直しから始めましょう。必要であれば、薬による治療も選択肢となります。ご自身の状態に合わせて、医師と一緒に無理のない対策を考えていきましょう。