「動悸がする」「脈が飛ぶ感じがする」「胸がドキドキする」

このような症状があっても、病院に着くころには症状が治まってしまい、心電図をとっても異常が見つからないことがあります。

そんなときにぜひ覚えておいていただきたいのが、自分で脈を触って確認する「検脈(けんみゃく)」です。

特別な道具は必要ありません。自分の指で手首の脈を触れるだけです。

脈はどこで測る?

最もわかりやすいのは、手首にある橈骨動脈(とうこつどうみゃく)です。

反対側の手の人差し指と中指を、手首の親指側に軽く当てます。

少しずつ指の位置をずらしてみると、脈が「トン、トン」と触れる場所があります。

強く押しすぎるとかえってわかりにくくなるため、軽く触れる程度で十分です。

※親指は自分自身の脈を感じやすいため、検脈には使わないようにしましょう。

まず脈拍数を数えてみましょう

安静にして脈を触れたら、15秒間に何回脈を打つか数えてみます。

たとえば、

15秒で18回
→ 18×4=72回/分

となります。

より正確に確認したい場合は、1分間そのまま数えても構いません。

運動後、緊張時、発熱時などには脈は速くなりますので、できれば数分間座って休んでから測ってみましょう。

大切なのは「速さ」だけではありません

検脈では、脈拍数と同時に、

「脈の間隔が規則正しいか」

を確認することがとても大切です。

文章だけでは少しわかりにくいため、脈のリズムを簡単な図で表してみます。

1.正常な脈

正常な脈は、ほぼ一定の間隔で規則正しく打ちます。

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「トン、トン、トン、トン」と、次の脈がだいたい予想できる整ったリズムです。

2.期外収縮が疑われる脈

期外収縮では、通常より少し早いタイミングで1拍入り、そのあとに間があくことがあります。

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早く入った拍動は弱いため、手首では十分に触れないこともあります。

そのため患者さん自身は、

  • 「脈が飛んだ」
  • 「1回抜けた」
  • 「一瞬止まった」
  • 「止まったあとにドンと強く打った」

などと感じることがあります。

実際には「脈が抜けている」というより、予定より早く1拍入り、その後に少し長めの間ができるというイメージです。

期外収縮は健康な方にもみられ、必ずしも危険な不整脈ではありません。

ただし、頻繁に繰り返す場合や、息苦しさ、胸痛、めまいなどを伴う場合には心電図で確認した方がよいでしょう。

3.心房細動が疑われる脈

心房細動では、脈の間隔がバラバラで、規則性がありません。

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「トン……トントン……トン……トン……」というように、次の脈がいつ来るのか予想できません。

期外収縮では、ある程度規則的な脈の途中に「早い脈+その後の間」が入ることが多いのに対して、心房細動では、最初から最後まで脈の間隔が不規則なのが特徴です。

心房細動は、動悸や息切れの原因になるだけでなく、心臓の中に血栓ができて脳梗塞の原因となることがある不整脈です。

ただし、脈がバラバラだからといって、必ず心房細動というわけではありません。期外収縮が頻発している場合などにも不規則に感じることがあります。

最終的な診断には心電図が必要です。

動悸がしたら、その場で脈を測ってみてください

診察をしていると、

「昨日の夜に10分くらい動悸がしたのですが、今は大丈夫です」

という患者さんは少なくありません。

発作性の不整脈は、症状が出ているとき以外の心電図ではわからないことがあります。

そんなとき、

  • 脈拍は1分間に何回くらいだったか
  • 規則正しかったか
  • 途中で早く入って、そのあと間があく感じだったか
  • 最初から最後までバラバラだったか
  • 何分くらい続いたか

がわかると、診断の大きな手がかりになります。

スマートウォッチや携帯型心電計をお持ちの方は、症状がある最中に記録を残しておくのも有用です。

脈を触ったら、この3点を確認

脈を触れたときには、

  1. 1分間に何回くらいか
  2. 規則正しいか
  3. 脈が飛ぶ感じか、ずっとバラバラか

を確認してみてください。

こんなときは受診をおすすめします

次のような場合には、一度医療機関で心電図を確認することをおすすめします。

  • 安静にしているのに脈が明らかに速い
  • 脈が非常に遅い
  • 脈が何度も飛ぶ
  • 脈の間隔がずっとバラバラ
  • 動悸を繰り返す

特に、動悸に加えて胸痛、強い息苦しさ、めまい、失神・失神しそうになる症状がある場合には、早めの受診が必要です。

自分の「いつもの脈」を知っておきましょう

検脈は、血圧測定と同じように、自分の体の状態を知るシンプルな方法です。

症状があるときだけでなく、ときどき安静時に脈を触って、

「自分の脈は普段これくらい」

という感覚を知っておくのもよいでしょう。

そして動悸を感じたときには、

「速さ」「規則性」「脈の飛び方」

を確認してみてください。

わずか30秒ほどの検脈が、不整脈を発見する大切な手がかりになることがあります。

作成・監修: 森嶋 素子 (循環器専門医/日本プライマリ・ケア連合学会認定医)