
当院では成人(18 歳以上)のみを対象に処方を行っています。
初診の方へ: 直近の健康診断結果など、現在の健康状態が分かる書類をご持参ください。
処方
内容 | 費用(税込) |
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ダイアモックス 250 mg × 10錠 | 3,300 円 |
自費診療のみをご希望の場合には、診察料2,200円(税込)が別途かかります。
1. 高山病が起こる仕組み
標高 2,300 m 付近から空気が薄くなり、体は急な低酸素環境にさらされます。その結果、脳や肺の血流・透過性が変化し、頭痛・吐き気・倦怠感などの症状(急性高山病:AMS)が出現します。さらに高度を上げ続けると、高地脳浮腫(HACE)や高地肺水腫(HAPE)といった生命を脅かす状態に悪化することがあります。
2. ダイアモックスはどう働くの?
ダイアモックスは「炭酸脱水酵素」という酵素の働きをゆるやかに抑えます。すると体液が少し酸性に傾き、
- 脳が「もっと呼吸しよう」と指令を出す ─ 呼吸数が増えて血液中の酸素が増える。
- 余分な水分を尿として出す ─ 脳や肺のむくみ(浮腫)を防ぐ。
これらの作用により、頭痛や吐き気などの高山病症状を起こしにくくします。
3. 服用方法
いつから | 量 | 期間 |
---|---|---|
出発前日の夜 | 125 mg(½錠) | |
出発当日の朝以降 | 12 時間ごとに 125 mg(½錠) | 高所に滞在する間(通常 2〜3 日) |
250 mg 錠を半分に割って服用します。ピルカッターのご使用をおすすめします。
4. よくある副作用と対策
副作用 | 発生頻度 | 実際の対策 |
口周りや手足のしびれ | 30–60 % | ほとんどが軽度・一過性。続く場合は用量を 1日あたり125 mg に減量 |
利尿と頻尿 | 20–30 % | 脱水予防に水分を追加摂取。夜間分は就寝 3時間前に服用し頻尿を軽減。 |
味覚異常・炭酸飲料がまずい | 10–20 % | 中止後 1–2 日(遅くても 1 週間以内)で自然に回復 |
軽度の胃部不快感 | 5–10 % | 食直後に服用。必要に応じて胃薬を併用可能 |
発疹・重度アレルギー | ≪1 % | 速やかに中止し医療機関を受診 |
5. 処方不可となる場合(禁忌・慎重投与)
- 重度の腎機能障害
- 重度の肝機能障害
- 妊娠中・授乳中
- サルファ薬アレルギー など
6. 処方の流れと費用
- 診察:既往歴・服薬・体調を確認(血圧・SpO₂測定)
- ご説明:効果・副作用・服薬方法をご説明
- 処方・会計
- 自費診療のみ:診察料 2,200 円 + 薬剤費 3,300 円
- 保険診療と同日:薬剤費 3,300 円(保険診療とは別会計)
7. 高山病を防ぐその他のポイント
- ゆっくり登る:1 日の高度上昇は 300–500 m 以内が目安。
- 症状がある間はその高度にとどまる:頭痛・吐き気などが消失するまでは無理に高度を上げず、順応を優先。
- 水分補給:こまめに。アルコールは呼吸を抑え、脱水になりやすいで控えましょう。
- 十分な休息:出発前の疲労を残さない。
- 症状が出たら無理せず休む・下山する。
8. 高山病を発症した場合の治療(ダイアモックス)
ダイアモックスは予防だけでなく、急性高山病(AMS)に対する治療薬としても用いられます。
目的 | 服用量 | 服用間隔 |
治療 | 250 mg(1錠) | 1日 2回(12時間ごと) |
- 予防時の倍量を服用します。
- 頭痛が強い場合は鎮痛薬(例:アセトアミノフェン、ロキソプロフェン)との併用が可能です。
注意:ダイアモックスを服用しても症状が改善しない、または悪化する場合(歩行がふらつく・意識がもうろうとする・呼吸困難など)は、直ちに下山するなどの対応が必要です。